小笠原猫プロジェクト

ー人とペットと野生動物が共に暮らせる島をめざしてー

東京都獣医師会では、小笠原の自然保護を目的に、山に住む野生化したネコを飼育馴化して一般家庭へ譲渡する活動を継続して実施しています。当院はこの活動に積極的に参加しており今までに120頭のネコを引き取り、新しい飼い主募集を行ってきました。ここでは活動のほんの一部をご紹介させていただきます。

また、小笠原のネコたちの新しい飼い主になってくださった方々にこの場をかりてお礼申し上げます。

 

小笠原ってどんなところ?

小笠原諸島は東京都の一部で、都心から南へ約1000kmに位置する島々です。そこには独自の環境で進化した生物(固有種)が数多く暮らしています。そして、2011年にはユネスコの世界自然遺産に登録されました。

ところが、人間によって持ち込まれたネコによって小笠原村母島南先の海鳥繁殖地が襲われ、壊滅状態である事がわかりました。さらに、天然記念物であるアカガシラカラスバトは生息数が40羽ほど落ち込み絶滅寸前にまで追い込まれていました。そこで、山に住むネコ(ノネコ)の捕獲が始まりました。

 


島ネコの引越し大作戦

外来種として捕獲されたネコは殺処分するしかないと考えられてきました。しかし、小笠原にんネコを持ち込んだのは人間です。「野鳥は小笠原でしか生きられないけれど、ネコは都会でも幸せになれる。どちらの命も救いましょう。」という獣医師の言葉をきっかけに島で捕獲されたネコの本土への引越し作戦が始まりました。現在(2017年)までに約600頭のネコたちが小笠原からはるばる船に揺られて本土へ到着し、動物病院を介して新たな家族のもとで幸せな生活を送っています。

野生動物復活のきざし

2005年頃、生息数が40羽ほどと絶滅寸前だったアカガシラカラスバトはこういった活動によりその生息数が約400羽ほどまでに増加してきています。また、2014年には母島南崎の海鳥繁殖地でカツオドリの営巣・巣立ちが8年ぶりに確認されました。

しかし、ネコの繁殖力は強く、手を緩めればあっという間にもとの状態に戻ってしまいます。さらに、母島にはまだ推定200頭ものノネコが生息しており引き続き多くの受け入れが必要とされています。小笠原の自然を守っていくため、今後も是非ご協力をお願いいたします。

 

 

 

◇もっと詳しく知りたい方はこちら 

小笠原動物派遣診療報告 (PDF)

小笠原ネコプロジェクト!

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